NZフィッシングレポート
河合 彰一郎
僕の住んでいるクライストチャーチは、オークランド、ウェリントンにつぐニュ-ジーランド第3の都市で、日本やヨーロッパからの直行便もある南島の玄関ともいえる都市である。 こうガイドブック風に言ってしまうと、なんだか大都市のように聞こえてしまうけれど、人口は30万人ちょっとに過ぎず、市街地から車で30分も走れば、もうそこは映画“ロードオブ・ザリング”の風景がひろがっている。
ニュージーランドでは平均サイズのトラウト
クライストチャーチ市内には清流エイボン川が流れ、釣り人的に言うと、ここぞというポイントではまず間違いなくブラウントラウトを見つけることができる。 その他にも、ウナギやボラ、季節になればクインナットサーモンの遡上もあり、この川が自然界でいたって正常にその機能をはたしていることがわかる。 (クインナットサーモンとはキングサーモンのことで、NZは女王様の国なのでこう呼ぶ)ただし残念ながら、この川では釣りはできないのであるが…。 都市のど真ん中を流れる川でさえこんな状況だから、カントリーサイドを流れる川については、言わずもがなである。
クライストチャーチの周辺には、日帰りで釣行可能な鱒の釣れる川や湖が数多くあるが、僕が良く足を運ぶのは、観光客に人気のアーサーズパス国立公園にほど近い、ブロークンリバーという川。
ブロークンリバーへは、ルート73をひたすら西に向かって走り、レイクピアスンを過ぎた辺りで右へ折れる。 ここから先は牧場の中の砂利道を進むことになる。 ニュージーランドの道路は市街地を除いて国道(モーターウェイ)からそれると、ほとんどが舗装をしていない砂利道となる。 そしてそれらは、時に牧場のまんなかを貫いている。牧場なので当然ながら柵で囲われていて、そこには、羊や牛、馬、ときには鹿やダチョウが放牧されている。
牧場の入り口には必ずゲートがあって、これを自分で開けて先へと進む。 日本人的感覚からすると、なんだか無断でよそ様の土地に入るようで気がひけるかもしれないが、そういった場所にはかならず“FISH&GAME”が設置した案内版があって、“Anglers Access”の表示がある。
この国では、国民が釣りを楽しむ権利がちゃんと保証されているのだ。
さて、そのブロークンリバーであるが、ニュージーランドでは中規模クラスの川である。 ちょっと表現が難しいが、歩いて何とか渡れる程度の深さと川幅の河川、と言ったら分かってもらえるだろうか?
ニュージーランドでのフライフィッシングは、サイトフィッシングが中心となる。 日本のように漁協による定期的な放流がないこの国では、よほど生息条件の整った場所でない限り、一定区間に生息する個体数もそれほど多くはない。 したがって、まずは鱒を見つけてから釣り始めるというのは、理にかなった方法なのだ。 そのため、鱒を求めて川沿いに長い距離を歩かなければならないこともしばしばで、鱒を見つけに自由に対岸との行き来ができることが、釣行時の重要なファクターとなる。 その点で深すぎず広すぎずのブロークンリバーはうってつけの場所である。
ニュージーランドはサイトフィッシングが主流
この川で釣れるのはほとんどがレインボートラウトである。 ブラウンもいるにはいるらしいが、僕はまだここではお目にかかっていない。 フライは早くて重い流れの中で、3回、4回とメンディングしても沈まないものが使いやすい。 スノーシューやカーフテイルをウィングにたっぷり用いた、ハンピーやウルフパターンがお勧めだ。
尚、2005年~2006年度の解禁期間は、11月5日~4月30日バッグリミットはトラウトであれば1匹、サーモンはもし釣れたとしても速やかにリリースしなければならない。 その他、ニュージーランドにおけるレギュレーションについては Fish&Game New Zealand を参照のこと。