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NZフィッシングレポート(タウポ編)

河合 彰一郎

ニュージーランド最大の湖、レイク・タウポ。 その湖岸に開けた人口約3万人のこじんまりとしたリゾートタウンがタウポだ。 この街は、スカイダイビング、バンジージャンピング、トラウトフィッシング、トランピングなどのアウトドアスポーツのメッカとして、1年を通じて多くの観光客を集めている。 そして、フライフィッシャーであれば南島のマタウラとならんで、一度は訪れたい世界的なフィッシングスポットである。

僕が住み慣れたクライストチャーチを離れ、タウポに生活の拠点を移したのは4月中旬のこと。 バックパッカーホステルに宿泊しながら、そこでハウスワークを1日2時間手伝う代わりに宿代が無料という滞在スタイルだ。 毎日世界中からやって来る多くのゲスト達と一緒に過ごす時間は、より実践的な英語を身につけるにはもってこいの環境であるうえ、釣り好きのゲストと同室になることもしばしば。 共通の趣味を持った者同士、たった今会ったばかりとは思えない気安さで会話も弾み、夕食や釣行をともにしたりと充実したひとときが過ごせるのは、フライフィッシングのおかげであるとつくづく思ってしまう。 今では僕の携帯電話には、世界各国のフライフィッシャーの名前が多数登録されている。

タウポ周辺にはフライフィッシングの名川が数多くあるが、この街を拠点に釣りを楽しむのであれば、ワイタハヌイ・リバー、ヒネマイアイア・リバー、タウランガタウポ・リバー、トンガリロ・リバーの4河川がメインとなるだろう。 これらの川に共通していることは、各ポイントへ通じるウォーキングトラックとそれに伴う駐車スペースが、きちんと整備されていることである。 さらに主な駐車場には案内板も設置されていて、初めて訪れた釣り人でも思った場所へ迷わずアクセスできる。

ただし、ここで一つ気をつけたいのは、車上荒しが近年非常に多いことである。 実際に現地に行ってみると、そこかしこに粉々に割れたウインドウスクリーンの破片を見つけることができる。 それも、痕跡からみてほんの数日前のものもあって、僕も最初は、本当にここに車を置いて良いものか迷ったほどである。 地元のフィッシャーマン達は平気でその上にでも駐車し、もし、車上荒しに遭ったら“運が悪かった”くらいにしか考えていない。 僕も最近では慣れっこになってしまってそれほど気にならなくなったが、貴重品だけは車の中に置かないことが鉄則だ。

さて、話を釣りに戻すとタウポ地区でなんと言っても、その名が世界中に轟いているのはトンガリロ・リバーである。 この川は毎年15ポンドクラスのブラウン、レインボーが上がっていて、アベレージサイズも4~6ポンドと大きいことから、世界中から釣り人が押し寄せる。 日本からもその名に誘われ多くのフライフィッシャーが訪れているが、友人のフィッシングガイドによると、日本の釣り人の多くが先ず釣り方の違いに戸惑うそうである。 ここではウール製のピンポン玉くらいはありそうな目印に、ヘビーウェイトのニンフをドロッパーとして、その先に1本又は2本のフライを連結するインジケーターフィッシングが主流である。 この手法はニュージーランドではごく一般的で、太く強い流れの中にいる鱒を狙うには効果的なのは確かだが、日本人的感覚からすると“繊細さに欠ける”と感じるのも事実であろう。 もちろん、郷に入っては郷に従えで、トンガリロでNZスタイルにトライするのもよいが、より繊細なフライフィッシングを楽しみたいのであれば、ワイタハヌイ・リバーとタウランガタウポ・リバーがお勧めだ。 レイク・タウポへと注いでいるこの2河川、車で20分と離れていないところを流れているのだが、面白いことに渓相は全く異なる。 ワイタハヌイは水草の生い茂るスプリングクリーク、一方のタウランガタウポは典型的なフリーストーンリバーである。 ともに歩いて両岸を行き来できる中規模の河川で、マッチング・ザ・ハッチのドライフライの釣りから、ライトウエイトのニンフを使ったルースニングまで、日本での普段通りのやり方で十分楽しむことができる。 そして釣れる魚のサイズ、コンディションとも写真の通り申し分ない。 僕自身もトンガリロへは行かずに、こちらの方へ足が向かってしまうのがもっぱらである。

4月末で殆どの河川が禁漁となる南島に対して、北島は6月いっぱいまで、そしてここタウポ周辺では1年中フライフィッシングが楽しめる。 タウポというと“大物が釣れる場所”ということばかりがクローズアップされがちだが、一方でスプリングクリークの繊細な釣りから湖での豪快なトローリングまで、 1年を通じて世界中からやって来るフィッシャーマン達の様々なニーズを、十分に満たすだけの多彩なフィールドを備えていることも大きな魅力といえるだろう。

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 悠々と流れるトンガリロ・リバー。
 川の規模、水量を考えると巨大インジケーターにヘビーウエイトのドロッパーが必需品というのもうなずける。

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 対岸近くに見つけた吸い込むようなライズを#18のフローティングニンフで狙った結果。
 (ワイタハヌイ・リバー)

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 ワイタハヌイの透き通った緩やかな流れ。
 水草の陰に大物の気配。

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 タウランガタウポ・リバー。
 平坦で開けた流れはまさにフライフィッシングにうってつけ。
 タウポ周辺の河川はフライフィッシングのみ許可されている。

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 大物の多くは流木に寄り添うように身を潜めている。
 フッキングした後に流木をいかに回避してランディングまで持ちこむかが一番の難題。

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 友人のフィッシングガイド、ケニーにフィッシュオン!!!
 (タウランガタウポ・リバー)

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